浴衣と からくり時計
今から35年前、天神地下街の呉服屋に就職しました。ある日のこと、1人の女性がお母さまと一緒に来店され、仕立て用の浴衣をご購入。接客中に「可愛いな」と思い、出来上がりの時にまた会えるのを楽しみにしていました。しかし、浴衣を受け取りにこられたのはお母さまだけ。彼女には会えませんでした。残念だと思っていたところ、後日その女性の友人が来店し、「浴衣を買いにきた人を覚えていますか?」と、声をかけてくれたのです。覚えていることを伝えると、「その女性が、一緒に大濠花火大会に行ってほしいと言っているけど、どうですか?」と聞かれ、私は即答で「行けます」と答えました。当日の待ち合わせ場所は、からくり時計の前。花火を見に行ったのですが、私はとにかく印象を良くしようと、花火そっちのけで話をしていました。次に会える日をなんとか設定し、待ち合わせの場所は、またからくり時計の前。それから何度も一緒に過ごす時間をつくりましたが、待ち合わせ場所はいつもからくり時計の前になりました。月日は流れ、その女性は私の妻となり、今でも仲良く過ごしています。
◎ガリー/50代/男性